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第61話  

松山昌平が部屋のドアを押し開けると、薬の効果で苦しむ伊達明史が、柳巧美を押し倒し、不正な行為を試みていた。

 「兄さん、兄さん、助けて!」

 柳巧美は最後のわらを掴んだように、松山昌平に叫びながら助けを求めた。

 伊達明史は彼女の恋人であり、すでに肉体関係を持っていたが、このような状況は彼女にとって受け入れがたいものだった。あまりにも恥ずかしかったのだった。

 松山昌平は冷たい目つきで床に倒れている二人を跨ぎ、篠田初のものをテーブルから取り上げた。

 「自業自得だ!」

 この言葉を投げ捨てると、彼は一度も振り返らずにその場を去った。

 彼のいとこは甘やかされすぎて、これ以上ないほど横暴になっていた。もう少し苦労を味わう時が来たのだった。

 階下に降りると、入口に立っている篠田初を見つけた松山昌平は、冷たい眉をひそめた。「まだ離婚していない以上、君はこの別荘の主だ」

 「ありがとう、でもいらないわ!」

 篠田初は彼の手から物を受け取り、そのまま立ち去ろうとした。別れの言葉すら言う気もなかった。

 この時、夜も更けていた。

 篠田初は別荘の外でタクシーを呼ぼうとしたが、主な街区から遠いため、ドライバーは誰も迎えに来なかった。

 しばらくすると、松山昌平が銀色のブガッティ・ヴェイロンに乗って彼女の前に現れ、険しい表情で言った。

 「乗れ!」

 それは招待ではなく、命令だった。

 篠田初は少し考えた後、拒むことなく助手席のドアを開けて乗り込んだ。

 しかし、座席に置かれたものを見ると、驚きを隠せなかった。

 「これ......どこで手に入れたの?」

 車のダッシュボードには、今朝墓地で拾ったものと全く同じ琥珀のペンダントが置かれていた。

 彼女の心に大胆な予感が浮かび上がった。

 もしかして、彼が今日、墓地に行って両親のお墓に参った時に、この琥珀のペンダントをうっかり落としたのでは?

 だが、そうは思えなかった。彼がどうして同じペンダントを二つも買うのか?ただの偶然なのか?

 「このペンダントは......」

 「俺の物に触るな!」

 松山昌平は不機嫌な口調で言い放ち、冷たい表情でペンダントを彼女の手から奪い返した。

 「ちっ、ケチだね!」

 篠田初は少しがっかりした表情を浮かべた。

 彼女はそれが偶然であり、自分の考
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